飲食店 健全経営の基礎知識

青木勇樹

ガイド:青木勇樹ガイドへの質問

経歴
グローバルジャパン総合鑑定株式会社 代表取締役 不動産鑑定士。従来の鑑定評価業務の他、賃料改定コンサルティング、売買・任売・競売コンサルティング、出店・退店コンサルティング等の周辺業務にも積極的に取り組んでおります。最近は景気悪化の影響からか、テナントサイドからの賃料減額に関するご相談を数多くお受けしております。これまで蓄積した事例等を踏まえて飲食店経営者様向けに人件費に次ぐ固定費である賃料にフォーカスして役立つ情報を発信していきます。
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2012.10.04 不動産鑑定士による飲食店舗運営コストの基礎知識

不動産鑑定士による飲食店舗運営コストの基礎知識②

今回は賃貸借契約書や仲介業者から交付される重要事項説明書にでてくる用語の解説をしたいと思います。何を今更と思われるかもしれませんが、用語の意味を誤解されている方、あやふやな方も少なくありません。店舗開発、コスト削減など経営上の判断をするに当たり正しい知識は必要であると思いますので、お付き合いいただければと思います。

今回のコラムでは下記の通り、必要最低限の用語にあえて絞りました。さらに知識を深めたいと思われた場合には、弊社のホームページfacebookページ、私のブログにお役立ち情報、法改正情報など今後発信していきますので、参考にしていただければと思います。

賃料は賃貸借契約により目的物を使用収益することに対する対価であり、土地の使用対価を地代、建物の使用対価を家賃といい、借地借家法では借賃という言葉が使われています。
不動産の鑑定評価上、賃料には種類があります。新規の賃貸借によるものか賃料改定によるものかにより、新規賃料と継続賃料に区分され、さらに新規賃料は、正常賃料と限定賃料に区分されています。

新規賃料
新規賃料とは「新たな賃貸借等(賃借権若しくは地上権又は地役権に基づき、不動産を使用し、又は収益することをいう。)の契約において成立するであろう経済価値を表示する適正な賃料」をいいます。
要するに新規賃料とは、新規出店の際、新しく賃貸借契約を締結するときの賃料をいいます。

正常賃料
正常賃料とは「正常価格と同一の市場概念の下において新たな賃貸借等(賃借権若しくは地上権又は地役権に基づき、不動産を使用し、又は収益することをいう。)の契約において成立するであろう経済価値を表示する適正な賃料」をいいます。
これは新規賃料の一つで、通常、新規賃料といえば正常賃料を指します。

限定賃料
限定賃料とは「限定価格と同一の市場概念の下において新たな賃貸借等の契約において成立するであろう経済価値を適正に表示する賃料」をいいます。
これも新規賃料の一つですが、限定賃料を求めることは稀です。同じビル内で2階3階といったように複数階を借りている場合や、これから借り増す場合、一棟貸の事案などにおいてその考え方を応用します。

継続賃料
継続賃料とは「不動産の賃貸借等の継続に係る特定の当事者間において成立するであろう経済価値を適正に表示する賃料」をいいます。更新時などにおいて賃料を改定する場合に求める賃料概念です。賃料減額、賃料増額などの交渉時に考えるのはこの継続賃料ということになります。

共益費
共益費とは、建物の廊下、階段、トイレ等の共用部分の電気代、清掃費、エレベーター等の保守点検費等、専用部分以外の部分を維持管理するための費用をいいます。本来は、月々かかった実費を清算すべきものですが、計算が面倒なために、毎月一定額と決められるのが一般的です。実費を上回る額を共益費の名目で徴収し、実質的に賃料に上乗せとなっていることもありますので、賃料を分析する場合、この共益費の分析も大切です。

契約に当たり授受される一時金は、賃料の前払的性格を有するもの、預り金的性格を有するもの、賃貸借等の権利に譲渡的性格を有するもの、さらに営業権の対価又はのれん代に相当するもの等目的は様々ですが、民法・借地借家法上、当然に支払が義務付けられているものではなく、さらに地域によっても、その取扱いが異なっております。したがって、これらの一時金については、単なる名称(敷金、保証金、礼金、建設協力金など)にとらわれず契約書等から授受の目的、契約が終了した場合の返還の要否等の実態を把握しておくことが大切です。

敷金
一般的に、敷金は賃料の不払い・未払い等の契約の不履行に基づく損害賠償の担保としての性格で授受されています。
将来契約が終了した場合には、債務を控除した残額が、借主に対して退去後に返還されます。通常、預けてある間の利息はつきません。なお、関西等では「敷引」の慣行があります。

保証金
保証金は、店舗の契約書に多くみられ、一般的に、金銭消費貸借契約の性格が強いものと理解されています。建設協力金が変化したものと言われていますが、詳細は省略します。
保証金の性格は多様で、実際には権利金の場合もあり、また敷金と同様、債務不履行の担保としての性格の場合もあります。いずれにしても、他の一時金同様、保証金に関する条項をよく読んで、実質的な法的性格を理解することが大切です。

礼金
礼金は一般的には契約締結の謝礼として授受され、契約が終了し、退去する際にも、借主に返還されません。

更新料
更新料は契約更新のとき支払われる金銭で、法的には必ずしも支払わなければならないものではなく、支払の慣行がない地域もあります。その額は賃料の1~2ケ月分が標準のようです。

消費税
契約書上の賃料表示は、税込表示や税抜表示、さまざまですが、消費税は賃料ではありませんので、賃料を分析する場合、税抜で考えます。消費税については社会的関心も高まっていると思いますので、改めて取り上げたいと思います。

 

今回は以上です。最後までお読みいただきありがとうございました。