飲食店 健全経営の基礎知識

青木勇樹

ガイド:青木勇樹ガイドへの質問

経歴
グローバルジャパン総合鑑定株式会社 代表取締役 不動産鑑定士。従来の鑑定評価業務の他、賃料改定コンサルティング、売買・任売・競売コンサルティング、出店・退店コンサルティング等の周辺業務にも積極的に取り組んでおります。最近は景気悪化の影響からか、テナントサイドからの賃料減額に関するご相談を数多くお受けしております。これまで蓄積した事例等を踏まえて飲食店経営者様向けに人件費に次ぐ固定費である賃料にフォーカスして役立つ情報を発信していきます。
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2012.08.31 不動産鑑定士による飲食店舗運営コストの基礎知識

不動産鑑定士による飲食店舗運営コストの基礎知識①

皆様、はじめまして。不動産鑑定士の青木と申します。従来の鑑定評価業務の他に、賃料改定コンサルティングや売買・任売・競売コンサルティング、出店・退店コンサルティング等の周辺業務にも積極的に取り組んでおります。最近は景気悪化の影響からか、テナントサイドからの賃料減額に関するご相談を数多くお受けしております。
この度、標題をテーマとして15回にわたりコラムを担当させて頂くこととなりました。どうぞよろしくお願いいたします。
読者としては既に飲食店を経営されている方を対象として想定しておりますが、これから、独立開業を考えていらっしゃる方にも役立つ内容にしていきたいと考えております。
元々、不動産鑑定士は皆様が賃借している店舗のオーナー・大家サイドからお仕事を依頼されることがほとんどであるため、店舗の賃借人・テナントサイドにとってはあまりなじみがなく、また、資格自体弁護士、税理士等と比べて認知度が低いことから、ご存じない方も多いと思います。
そこで、本コラムでは、飲食店経営者向けに人件費に次ぐ固定費である賃料にフォーカスして情報発信していこうと思いますが、その前にまず、今回は不動産鑑定士資格、不動産の鑑定評価制度について最低限、知っておいて頂きたい内容をお伝えしたいと思います。


不動産鑑定士とは?
不動産鑑定士は、不動産の鑑定評価に関する法律に基づき制定された国家資格であり、不動産(土地若しくは建物又はこれらに関する所有権以外の権利をいう。以下同じ)の経済価値(価格や賃料)に関する高度専門家で、年一回実施される不動産鑑定士試験に合格し、実務修習等の定められた手順を経た後に国土交通省に備える不動産鑑定士名簿に登録されます。ここ数年の試験合格者は100人前後で、短答式受験者からの合格率は、4~5%で推移しているようです。また、不動産鑑定士は弁護士、公認会計士と並び三大国家資格と評されることもあるようです。

 

不動産の鑑定評価とは?
不動産の鑑定評価とは、不動産の経済価値(価格や賃料)を判定し、それを貨幣額をもって表示することをいいます。貨幣額をもって表示するとは、この不動産の価格は○○円であるとか、この店舗の賃料は○○円であるとか、通貨尺度で表示することで、その方法は、報告書等の書面による場合のみならず、口頭のみの場合も含まれます。



不動産の鑑定評価の必要性
では、なぜ、不動産の鑑定評価が必要なのでしょうか?
不動産鑑定評価基準においては、不動産の鑑定評価とは「現実の社会経済情勢の下で合理的と考えられる市場で形成されるであろう市場価値を表示する適正な価格(正常価格又は正常賃料)を、不動産鑑定士が的確に把握する作業に代表されるように、練達堪能な専門家によって初めて可能な仕事」と位置づけられており、『新・要説不動産鑑定評価基準』では、「一般の人々にとっては、不動産の適正な価格はいくらかということを取引価格等を通じて判断することは著しく困難であり、(中略)不動産鑑定士による適正な鑑定評価活動が必要となるものである」としています。
つまり、一般の人には不動産の適正な価格(又は賃料)を求めることが困難であるため、不動産鑑定士による鑑定評価が必要とされているのです。

 

具体的な鑑定評価業務の例

【公的な鑑定評価業務の例】

・地価公示法に基づく標準地の鑑定評価
・国土利用計画法施行令に基づく基準地の鑑定評価
これらは、毎年発表の翌日に新聞紙面等において数ページにわたり掲載されますので、一般の人々にもなじみがあると思います。
その他、公共用地取得時の補償目的の評価、相続税標準地の評価、固定資産税標準宅地の評価、競売における評価等も公的評価に含まれます。

【民間の鑑定評価業務の例】

・地代や家賃の更新・改定時の係争における評価
地代及び家賃等の賃料についての鑑定評価書は賃貸借当事者間の交渉における資料として使用されるほか調停・裁判における賃貸借当事者の主張の根拠資料として利用されています。賃料交渉時には当事者間の関係悪化を防ぎつつ、交渉を円滑に進めるために、客観的な不動産鑑定士による鑑定評価の利用をお勧めします。
 

・不動産を売買・交換するとき
不動産売買・交換において損をしないため、また、トラブルを回避するためにも客観的かつ公正中立な鑑定評価の利用をお勧めします。
不動産業者の教えてくれる価格は「取引相場」であり、購入したい人には「高め」に、売却したい人には「安め」に言う場合が多いです。したがって、必ずしも、中立な立場でジャッジされるものとは限りません。
 


鑑定評価業務侵害委員会
不動産の鑑定評価は不動産鑑定士の独占業務であり、不動産鑑定士以外の者が不動産の鑑定評価を行えば、刑事罰の対象となります。不動産鑑定業者の登録を受けず、他人の求めに応じ、報酬を得て不動産の価格や賃料を査定することを業として行うことは「不動産の鑑定評価」と称するか否かを問わず、また「不動産鑑定評価基準」に則るか否かを問わず、不動産の鑑定評価に該当することになり、これに違反すれば、罰則が課せられます。
私がインターネットに公開されている情報等、業務上収集している情報等からみて、故意かどうかは別として、鑑定評価業務を侵害していると思われる業者も少なくありません。
このような状況を受けて、不動産鑑定協会でも鑑定評価業務侵害防止委員会を発足させて国民の利益を守るために取締りを強化しております。

 

今回は以上です。最後までお読みいただきありがとうございました。
次回よりコラムの本題に入っていこうと思います。