飲食店 健全経営の基礎知識

岡野耕児

ガイド:岡野耕児ガイドへの質問

経歴
岡野社会保険労務士事務所 所長
社会保険労務士
大阪府出身 大阪府立八尾高校、同志社大学卒業
上場会社にて管理職などを歴任後、社労士開業。現在、各種助成金申請、就業規則作成、賃金制度・目標管理制度のアドバイス業務、コンサルティング業務を中心に活動中。
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2012.06.25 飲食店の助成金入門

飲食店の助成金入門⑤

売り上げが順調な時期は、如何に無駄をなくし、経費を削減していくかを考えればよかった。しかし不景気で売り上げの維持が難しいこの時代、経費削減には限 界がある。店長やスタッフを教育して店の営業力を強化し、売り上げを増やすことを考えなければ生き残っていけないんじゃないか。そんな危機感を持っている 事業主にピッタリな助成金(キャリア形成促進助成金)を今回はご紹介します。

 

主な助成内容(支援対象者:雇用保険の被保険者)
①雇用する労働者に、職務に関連した専門的な知識および技能を習得させることを内容とする職業訓練等を受けさせる事業主に対して助成金が支給されます。
<経費助成>訓練に要した経費の3分の1に相当する額
<賃金助成>訓練の実施時間に対して支払われた賃金の3分の1に相当する額
 
②雇用するパートタイム労働者や契約社員に高度な技能およびこれに関する知識を習得させるための職業訓練等または正社員への転換に必要な技能および知識を習得させるための職業訓練等を受けさせる事業主に対して助成金が支給されます。
   <経費助成>訓練に要した経費の2分の1(大企業は3分の1)に相当する額
   <賃金助成>訓練の実施時間に対して支払われた賃金の2分の1(大企業は3分の1)に相当する額
 
③従業員の自発的な能力開発を支援するために、自発的職業能力開発経費負担制度、または職業能力開発休暇制度を就業規則または労働協約に設け、従業員の能力開発に要する経費の負担や職業能力開発休暇の付与を行う事業主に対して助成金が支給されます。
<経費助成> 事業主が負担した職業能力開発に要した経費の2分の1に相当する額
 ※経費助成を申請する場合は、経費負担制度を設ける必要があります。
<賃金助成> 訓練時間に応じて支払った賃金の2分の1に相当する額
    ※賃金助成を申請する場合は、休暇制度を設ける必要があります。
<制度導入に対する奨励金>各制度を導入後3年以内に、
その制度を利用して訓練を受講した者が発生した場合に15万円(1制度につき1事業所1回限り)。
また、各制度利用者1人につき5万円(1事業所当たり、経費負担制度および休暇制度の合計で延べ20人を限度)
   <制度の利用促進に対する奨励金> 制度の導入後3年間が経過した中小企業の事業主に対し、
   制度の利用者が過年度の年間計画における最大利用者数を1人上回るごとに2万円を支給(年間5人分、計10万円を限度)。
 
活用事例
【A社(居酒屋)の場合】
A 社では、パートタイム労働者や契約社員といった短時間等労働者を多く雇用しており、短時間等労働者のキャリアアップが重要な課題となっている。そこでA社 では、意欲と能力のある短時間等労働者が能力を高め正社員への転換を図ることを支援するため、上級職に就くための研修として従来から正社員に対して行って いた、接客サービスに関する新任チーフ研修(12時間、部外講師謝金12,000円/時間、教科書代3,000円/人)を、上位職のパート社員4人に対し て行うことにした。今後は、職場の基幹的労働力として、さらに上の役職を目指し活躍してくれることを期待している。
 
◆助成金の受給額の例(注)中小企業が短時間等労働者に訓練を実施した場合です。
 【要した経費】256,800円(①+②)
【助成額】 118,320円(③+④)
【経費助成対象額】
部外講師謝金
(1時間12,000円×12時間)=144,000円
教科書代
(1人3,000円×4人)=12,000円
計156,000円・・・・・・・・・・・・①
【経費助成額】
(144,000円〔部外講師謝金〕+12,000円〔教科書代〕)×1/2〔助成率〕=78,000円・・・③
【賃金助成対象額】
研修を実施している時間における賃金
※従業員1人に対する1時間当たりの平均賃金単価2,100円で算出
2,100円×(12時間×4人)=100,800円・・・②
【賃金助成額】
※1時間当たりの賃金助成額 840円
2,100円×0.8×1/2=840円
840円×(12時間×4人)=40,320円・・④
 
キャリア形成促進助成金を活用できる事業主
次の全てに該当する事業主であって、あらかじめ、都道府県労働局(以下「労働局」といいます)に訓練実施計画の届出を行っていることが必要です。
(1)雇用保険の適用事業所の事業主であること。
(2)職業能力開発推進者を選任していること。
(3)労働組合等の意見を聴いて事業内職業能力開発計画を作成していること。
(4)事業内職業能力開発計画に基づく年間職業能力開発計画を作成し、その計画の内容を雇用する労働者に対して周知していること。
(5)支給申請書の提出日の属する年度の前々年度より前のいずれかの保険年度に係る労働保険料について未納としているものがないこと。
(6)過去3年間に雇用保険二事業による助成金を不正受給したことがないこと。
(7)労働者に訓練等を受けさせる期間に、所定労働時間労働した場合に支払う通常の賃金を支払っていること。また、所定労働時間を超えて訓練を実施した場合には、就業規則等に定められた割増賃金を支払うこと。
 
*この助成金は、企業の規模(中小企業・大企業)によって、助成内容が異なります。
飲食店は、資本金5,000万円以下or従業員50人以下が、中小企業となります。
 
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岡野社会保険労務士事務所 岡野耕児